日差しが強い日。
鬼道と円堂はたまたまグラウンドであった。
≪子供だもん≫
楽しそうだな、
口をとがらせて窓の外を眺める。そこには二人の友達。
自分の存在に気づいていないみたいだ。ふう、と短いため息をついた。邪魔をしてやってもよかったのだが、気分じゃなかった。最近、鬼道と円堂は話をするのが多い。
その前は風丸とかと話すのが一番多かった、と思う。
俺だって、円堂とたくさん話してみたいさ。
いつだって最初に口を開くのは、円堂で。次が鬼道で。その次の次が、俺だった。
もともと妹がいるという立場のせいで、人を優先してしまう癖が出てしまっているのは、もうずっと昔から気付いていたこと。それがいけないことではないということも、もちろん知っていた。
あーあ。
もっと話しておけばよかった。
気付けば、彼らは木陰に移動し話に話しこんでいた。
そろそろ邪魔をしようか。
だって、これ以上話してしまっていたらなんだかいやだし。
窓の枠に肘をつき、笑う彼らの笑顔を見つめていた。自分の存在に気づかないようだ。
「豪炎寺」
「あ、風丸・・・か」
「なんだよ、その言い方」
水色の目立つやつ。
いつの間にかとられた背後。
驚いて笑っていると、風丸は窓の外を見た。あ、やばいかも。
「あ、円堂と鬼道じゃん」
「・・・あ、あぁ・・」
しまった見つかった。
このままじゃあ、二人にばれてしまう。
ダメだ。何とかしないと。
風丸は窓から身を乗り出して、二人に叫ぶ。俺は急いで、近くの壁に隠れた。
「円堂!」
どきどき、ばくばく。
心臓がなっている。危なかった・・・ストーカー疑惑をかけられるところだった。
風丸は不思議そうに俺を見たが、気にしない。
窓の向こうからは、円堂の叫び声。
「豪炎寺?」
「・・・なんだ?」
「いきなり隠れてどうしたんだよ、最近変だぞ」
「え」
最近、最近?
どこがおかしいのだろうか。俺はただ、彼らから離れてるだけ。
「え・・・って、だから・・お前最近円堂と鬼道のこと、避けてないか?ってことだよ」
「そんなことは・・」
そんなことはない。
いつもの言葉をかけようとして、言葉に戸惑った。
避けようとしているのは、確かにあっている。でも、ここまでひどいものじゃあないし。
つう、と冷たい汗が頬を滑った。風丸の眼は、いまだに俺を見ている。
「もしかして、嫉妬?」
「え、・・・何が」
「お前が変になったの、鬼道が来てからだろ?鬼道に嫉妬かなってさ」
え?
嫉妬?嫉妬って、あの?
まさか。するはずないって・・・
俺が鬼道に?
いや、
まさかね。
・・・・・END?
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